多くの人が人生で一番大きな買い物となるであろう住宅。住宅を取得するために金融機関から借りるのが住宅ローンです。住宅ローンは多くの人が数千万円もの大金を銀行から借りることになる、人生の中でとても大きな借金を抱えることになるローンです。
銀行員である私が、安心して住宅ローンを借りるために考えておくべきポイントを説明いたします!
住宅ローンに直接関わってくる住宅ローン減税の2022年改正ポイントについては過去記事をご参照ください。
目次
住宅ローンとは?
住宅ローンの要件
住宅ローンは文字通り、住宅を取得するために借りるローンです。住宅ローンは、住宅を新築する、購入する以外にも、増改築する際にも利用することができます。増改築の場合、多くの金融機関で取扱いのある「リフォームローン」を利用する選択肢があります。
住宅ローンとリフォームローンの違いは、有担保か無担保の違い、金利水準の違いがあります。住宅ローンは銀行に担保を提供をする分、低金利で借りることができます。(担保については後述します)
住宅を取得するにはお金がかかる・・・!
住宅を新築などで取得する際には、土地の購入費や住宅の建築費などの他に多額の諸費用が発生します。また、住宅ローンを組む際には住宅ローンを組むための費用が発生します。それらの費用を含めて住宅ローンを借りる必要があります。
住宅を取得するためにかかる費用
住宅は土地の購入費用や建物の建設費用だけでは取得できません。ではその他に住宅を取得する際にかかる費用には何があるでしょうか。
印紙代 | 売買契約書や工事請負契約書、住宅ローンの契約書に貼付けする印紙代 |
不動産仲介手数料 | 不動産仲介業者を利用する際にかかる手数料 |
火災保険料 | 建物にかける火災保険の保険料 |
登録免許税 | 登記にかかる税金。住宅の取得や、ローンの借入の際に必要となる。 |
司法書士報酬 | 登記手続きをした際に司法書士へ支払う報酬 |
不動産取得税 | 土地、建物を取得した際にかかる税金 |
住宅ローンを借りるためにかかる費用
住宅ローンを借りる場合には、そのためにかかる費用もあります。
事務手数料 | 金融機関に支払う手数料 |
保証料 | 借入に際して、保証会社に支払う費用 |
団体信用生命保険料 | 住宅ローンお借入れに際し、加入する生命保険の保険料 |
その他にかかる費用
下記の費用は、新たな住宅を取得した際にかかる可能性の高い費用です。
※以下の使い道が住宅ローンの対象となるかどうかは取扱金融機関への確認が必要となります。
引越し費用 | 新居への引越しにかかる費用 |
家具家電代 | 新居に設置する家具家電の購入費用 |
住宅ローン審査に対するポイント
住宅ローン審査の流れ
住宅ローンの審査には事前審査と本審査があります。
事前審査
事前審査は借りる人の収入などをもとに、どれだけの金額が借りられるか、求める金額が借りられるかを審査します。
審査をする上で目安となる返済比率という比率があります。これは「年間の借入返済額÷年収額」で計算できますが、およそ35%を超えると借入額が大きいと判断されるケースが大きくなります。ここで大切なのは審査する住宅ローンの返済額だけでなく、その他に借りている自動車ローンやカードローンなどの返済も加味するということです。
例えば、「(住宅ローンの年間返済額1,000,000円+自動車ローンの年間返済額840,000円)÷年収額5,000,000円=36.8%」となりますので審査は厳しくなります。この場合、自動車ローンの借入残高が少ないようなら繰上完済を検討するのも一つです。自分の返済比率が高いと思われる方は、審査を進めるにあたり金融機関担当者に相談してみてください。
また、金融機関に住宅ローンの審査を依頼すると、金融機関は信用情報機関という機関に申込者の情報を照会します。信用情報機関は消費者ひとりひとりの過去や現在の借入・返済状況などを金融機関同士で共有するための機関で、過去にローン返済の延滞があったり、クレジットカードの支払が遅れたりしていると、信用情報機関に情報が蓄積され審査に悪影響となります。現在の収入が高く借入金額も無理のないもので、返済比率が問題ないとしても、信用情報機関に悪いデータが残っていると、それだけで審査が否認となり得ます。そういった不安がある方はこちらも審査を進めるにあたり金融機関担当者に相談してみてください。
事前審査が通ればひとまず安心して住宅取得に向けた取り組みを進めることができます。
本審査、契約
事前審査を通過すると、次は本審査に進みます。本審査では、さらに多くの資料を金融機関に提出してさらに細かな審査を受けることとなります。事前審査が通ったからといって本審査が通るとは限りません。
本審査が通れば契約の手続きに進みます。契約締結後、住宅引き渡しなどのタイミングで住宅ローンが実行されることとなります。
金利について
住宅ローンの金利には固定金利と変動金利があります。固定金利には全期間固定金利と期間限定固定金利があります。
全期間固定金利
全期間固定金利は、返済期間中ずっと適用金利が変わらないため、返済額が変わらない金利です。有名なのは、フラット35と言われるローンで、借入期間の35年間ずっと返済額が変わらないため、返済計画が立てやすくなります。
一方で、金利が変動しない安心を得る代わりに、金利水準は高めになっています。
【メリット】
・返済額がずっと変わらず返済計画を立てやすい
【デメリット】
・他の金利タイプと比較して金利水準が高い
期間限定固定金利
期間限定固定金利は、一定期間は金利が変わらない金利タイプです。例えば3年固定金利だとすると、3年間は金利が変わりませんが、3年経過後に金利が変動し再度複数の◯年固定の中から金利を選択する金利タイプです。短い年数の固定期間であれば比較的金利が低く、長い年数(例えば10年固定等)の固定期間は比較的金利が高くなります。
【メリット】
・今後金利が上昇すると思えば長い期間の固定金利を組んだり、今後金利が下がると思えば短い期間の固定金利を組むなど借主が柔軟に考えることができます。
【デメリット】
上記の柔軟性は裏目に出ることも考えられ、長い期間の固定金利の間に金利が下がったとしても、その金利変動の恩恵を受けることができません。
変動金利
変動金利は半年ごとに金利が見直されるもので、返済期間中に金利が上下し返済額が増減することになります。ただ、一度金利が変動して返済額が変動すると、数年間は金利が変動しない金融機関が多いです。
固定金利と比較して金利が低水準となっています。
【メリット】
・固定金利と比較して金利が低い
【デメリット】
返済額が頻繁に変わるため、返済計画が立てにくい。
複数金融機関の住宅ローン金利をしっかり比較した上で借りる金融機関を決定しましょう
住宅ローンを借りる際には、複数の金融機関で事前審査を行い、より低い金利で借りることができる金融機関を選びましょう。
実際に審査を依頼しなくても複数の金融機関を比較できるWEBサービスで「モゲチェック」というWEBサイトがあります。こちらのサイトも是非参考にしてください。
まとめ
今回は、住宅ローンの基本についてご紹介しました。住宅ローンは多くの人が借りることになるローンですが、いざ借りるとなると当然経験がないのでわからないことも多いですよね。
何も勉強せず近くの金融機関やハウスメーカーの言われるがままにローンの申込しないよう気をつけましょう。
住宅ローンについては、今後応用編の記事も掲載したいと思います。